午前中はアユタヤにいた。バスで往復し、遺跡を歩き、象に乗って、昼過ぎにバンコクへ戻ってきた。脚がだいぶ張っていた。
その足で向かったのが、宿泊していたセントレジス・バンコクの中にあるスパ——と、この日まで思っていた場所だ。実際にはもう少し変わった施設だった。
「Unlock your Longevity journey」と書いてあった

受付に着いて、正面の大型スクリーンを見て少し戸惑った。
そこに出ていたのは「Unlock your Longevity journey」——長寿の旅を始めよう、という言葉。その下に小さく「LONGEVITY・WELLBEING・AESTHETICS」と並んでいる。
ここはLongevity Hub by Clinique La Prairieという施設だった。クリニック・ラ・プレリーは、スイスのモントルーに本拠を置く90年以上の歴史を持つ機関で、そのアジア展開の一つ。東南アジアで最初のLongevity Hubにあたる。
つまり、いわゆる「ホテルのスパ」ではなく、長寿・予防医療を掲げたウェルネス施設が、たまたまホテルの中に入っている、という構造だった。
メニューには、通常のマッサージやフェイシャルに加えて、Longevity Index Assessment(体の状態を評価するプログラム)、クライオセラピー、酸素療法、点滴、ハマム、ハイドロセラピーの回路といったものが並ぶ。ちょっとした医療機関のような品揃えだ。
磨かれた床にオーキッド。ソファと一人がけの椅子。受付そのものは、静かで、外の暑さから完全に切り離されていた。
プールがある

午後2時57分。案内されて最初に目に入ったのが、この空間だった。
屋内に、階段のついた細長いプールがある。水面は静かで、床はトラバーチンのような石。窓側には薄いカーテンが引かれ、光が拡散して入ってくる。
印象的なのは、天井から吊られた籐編みのポッド型チェアだ。繭のような形をしていて、中にクッションが置かれている。プールサイドにタオルが二枚、床に敷かれていた。
公式にはハイドロセラピーの回路やリフレクソロジーのウォーターウォークといった設備があるとされている。この水回りは、そのための場所なのだと思う。
繭の中で待つ

午後3時01分。同じ籐のポッドが、今度は横一列に並んでいる。
丸い開口部から中に入って座る形で、外からは中が見えにくい。木の床、白い天井、カーテン越しの光。長椅子も置いてある。
待合室というより、個室を作らずに個室感を出すための仕掛けだと思った。壁で区切らずに、家具の形だけで人と人を隔てている。

午後2時58分、施術の前に出てきたのがこれ。
白い陶器のカラフェとカップ、そして小さな器に赤黒いドライフルーツのようなものがひとつ。丸いトレイに載せられて、脇には観葉植物と、QRコードの案内カードが立ててある。カードには「MENU AND PRICE LIST — PLEASE SCAN HERE」。紙のメニューではなくQRコードというのが、この施設の性格をよく表している。
受けたのは、全身のマッサージ
メニューにはクライオセラピーも点滴もEMSculptも並んでいたけれど、私が受けたのは全身のマッサージだ。この施設で一番ふつうの選択だと思う。
特別なことは何もしていない。ただ、朝から歩き回って固まっていたものが、順番にほどけていった。
象の背に乗っていた数時間前まで、片側に体重を寄せて踏ん張っていたのだから、左右のバランスも崩れていたはずだ。押されるたびに、それが元の位置に戻っていく感覚があった。
先端的なメニューを揃えた施設で、いちばん原始的な施術を受けて、いちばん効いた。疲れているときに必要なのは、たいてい難しいことではない。
帰り際の棚

午後4時25分、終わって受付へ戻ると、ガラスの棚が目に入った。
紺色のボトルが整列している。棚板の下に価格札が置いてあって、19,000バーツ、22,000バーツ、23,900バーツ、28,000バーツ。日本円にすると、一本で数万円から十数万円という桁だ。ひとつには「Best Selling」の札。
下の段には白いチューブとクリームの瓶。こちらは価格が控えめに見えた。
マッサージを受けて緩みきった状態でこの棚の前に立たされるのは、なかなか巧みな導線だと思う。何も買わなかったけれど、眺めている時間は嫌いではなかった。
この日のメモ
- 訪問:2025年8月24日(日)14時57分〜16時25分ごろ。約1時間半。
- 施設:Longevity Hub by Clinique La Prairie(セントレジス・バンコク内)。東南アジア初のLongevity Hub。
- 運営:クリニック・ラ・プレリー。スイス・モントルーに本拠を置く、90年以上の歴史を持つ機関。
- 「スパ」だと思って行くと少し驚く:長寿・予防医療を掲げた施設で、メニューにはLongevity Index Assessment、クライオセラピー、酸素療法、点滴、EMSculpt、ハマム、ハイドロセラピー回路などが並ぶ。
- 受けたもの:全身のマッサージ。歩き疲れた脚にはこれで十分だった。
- 設備:屋内プール、籐のポッドチェアが並ぶラウンジ、トリートメントルーム。
- 施術前:飲み物と小さな菓子が出る。メニューと料金はQRコードで確認する方式だった。
- 物販:受付脇にスキンケアの棚。ボトルは19,000〜28,000バーツ台。
- 組み合わせ方:アユタヤ日帰りのあとに入れると、脚の疲れがよく取れる。旅の中日に一つ挟むと、残りが楽になる。
- 注意:メニュー・料金・営業時間は変わります。滞在時に必ず確認を。
旅の四日目に、こういう時間をひとつ挟んでおくと、残りが楽になる。それがクライオセラピーである必要は、たぶんない。
※2025年8月訪問。料金・営業情報は訪問時点のものです。
同じバンコク滞在中に立ち寄った記事はこちら。アイコンサイアムのPOP MARTへ。鞄につけられるぬいぐるみは売り切れだった
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シリーズを見る(Kindle Unlimited対応)セントレジス・バンコクのLongevity Hub|行く前に知りたかったこと
セントレジス・バンコクの「スパ」の正式な名前は
Longevity Hub by Clinique La Prairie です。受付正面の大型スクリーンに「Unlock your Longevity journey」と出ていて、その下に小さく「LONGEVITY・WELLBEING・AESTHETICS」と並んでいました。
ふつうのホテルスパと同じですか
違います。長寿・予防医療を掲げたウェルネス施設が、たまたまホテルの中に入っている、という構造でした。東南アジアで最初のLongevity Hubにあたります。
運営しているのはどこですか
クリニック・ラ・プレリーです。スイスのモントルーに本拠を置く、90年以上の歴史を持つ機関で、ここはそのアジア展開の一つです。
どんなメニューがありますか
通常のマッサージやフェイシャルに加えて、Longevity Index Assessment(体の状態を評価するプログラム)、クライオセラピー、酸素療法、点滴、EMSculpt、ハマム、ハイドロセラピーの回路といったものが並びます。ちょっとした医療機関のような品揃えです。
メニューと料金はどこで見られますか
紙のメニューではなく、席に立てられたカードのQRコードから見る方式でした。カードには「MENU AND PRICE LIST — PLEASE SCAN HERE」とあります。料金は変わるので、現地または公式の案内で最新をご確認ください。
どんな設備がありますか
屋内に、階段のついた細長いプールがあります。床はトラバーチンのような石で、窓側の薄いカーテンから光が拡散して入ってきます。天井からは籐編みのポッド型チェアが吊られていて、繭のような形の中にクッションが置かれています。公式にはハイドロセラピーの回路やリフレクソロジーのウォーターウォークといった設備があるとされています。
施術の前に何か出ますか
飲み物と小さな菓子が、丸いトレイに載って出てきました。脇には観葉植物と、QRコードの案内カードが立ててあります。
結局どれを受けたのですか
全身のマッサージです。この施設で一番ふつうの選択だと思います。先端的なメニューを揃えた施設で、いちばん原始的な施術を受けて、いちばん効きました。疲れているときに必要なのは、たいてい難しいことではありません。
どのくらい時間がかかりますか
私の場合は14時57分から16時25分ごろまで、約1時間半でした。所要時間はメニューによって変わります。
受付に物販はありますか
あります。終わって受付へ戻ると、ガラスの棚に紺色のボトルが整列していました。棚板の下の価格札は19,000バーツ、22,000バーツ、23,900バーツ、28,000バーツ。下の段には白いチューブとクリームの瓶が並んでいました。マッサージで緩みきった状態でこの棚の前に立つのは、なかなか巧みな導線だと思います。
旅程のどこに入れるのがよいですか
私はアユタヤ日帰りのあとに入れました。バスで往復して遺跡を歩き、象に乗ったあとで脚がだいぶ張っていたので、よく効きました。旅の中日に一つ挟んでおくと、残りが楽になります。それがクライオセラピーである必要は、たぶんありません。
この施設が入っているホテルには、四泊しました。
【バンコク】セントレジスに四泊した。窓の外が一面の芝で、そこに夕立が来る
同じホテルの屋外プールにも、娘と入っています。
【バンコク】セントレジスの屋外プールで娘と泳ぐ。上がればすぐ寝そうな顔になる
ラウンジのアフタヌーンティーも、同じ滞在中のものです。
【バンコク】窓一面のゴルフ場を見ながら、青と白の器のアフタヌーンティー
脚が張っていた原因は、午前中のこれです。
【アユタヤ】二人乗りの鞍に、一人で乗った。象が歩きだして体が横へ持っていかれる


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