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歌舞伎座の昼の部へ、ほぼ初めての観劇|行ってみたら敷居は建物の外にしかなかった

旅行

2025年7月26日、歌舞伎座の昼の部を観に行きました。歌舞伎は、ほとんど初めてに近い状態でした。

あとから写真を見返して気づいたのですが、この日は千穐楽(せんしゅうらく=その公演の最終日)でした。狙って取ったわけではなく、たまたまです。それでも、劇場に着いた瞬間の空気がいつもと違ったのは、たぶんそのせいだったのだと思います。

「本日千穐楽」の赤い幟

歌舞伎座の外観。「本日千穐楽」と書かれた赤い幟が掲げられている

10時41分、東銀座。

晴海通りに面した歌舞伎座の白い壁に、「本日千穐楽」と大きく書かれた赤い幟が下がっていました。その脇に唐破風(からはふ)の反った屋根。手前には銀杏の木と、開場を待つ人の列。

「千穐楽」という字が読めなくても、赤い幟が出ているというだけで、今日が特別な日なのだと伝わる。この掲げ方はうまいと思いました。

絵看板の前で、みんな立ち止まる

歌舞伎座の正面。赤い提灯が並び、ガラスケースの中に演目の絵看板が飾られている

10時42分、正面まで来ると、軒下に赤い提灯がずらりと並んでいました。

その下の大きなガラスケースに入っているのが絵看板です。演目の場面を描いた縦長の絵が何枚も並んでいて、隣に「七月大歌舞伎」の文字。

この絵看板の前で、ほとんどの人が足を止めて写真を撮っていました。中身を知らなくても、絵の力で「これから何か起きる」ことが分かる。予習していなくても気持ちが乗る仕掛けが、入口の時点で用意されています。

中に入る

歌舞伎座のロビー。赤い絨毯と朱色の柱、ポスターのイーゼル

10時43分、館内へ。

床は赤い絨毯、柱は朱色。壁際にイーゼルが立っていて、公演のポスターが掛かっています。着物姿の人がちらほら混ざっていて、それが浮かずに風景になじんでいる。

身構えて行ったのですが、館内の空気は思ったよりずっと普通でした。普段着で行って浮くことはありません。実際、ほとんどの人は普段着です。

黒・柿・萌黄の、三色の幕

歌舞伎座の客席から見た定式幕。黒・柿色・萌黄色の三色の縦縞

10時44分、席に着いて正面を見て、これは知っていました。

舞台を覆っているのが定式幕(じょうしきまく)黒・柿色・萌黄色の三色を縦に並べた幕で、歌舞伎座といえばこれ、という一枚です。

そして客席側を見上げると、二階の縁に沿ってまた赤い提灯が並んでいる。外にも中にも提灯があって、劇場全体が一つの意匠でまとまっている。

この幕を眺めている時間が、実はけっこう好きでした。まだ何も始まっていないのに、幕の三色だけで「ここは歌舞伎の場所だ」と分かる。

幕間の、和菓子の列

幕間の館内。赤い提灯の下、和菓子の売り場に人が並んでいる

11時56分、幕間(まくあい=休憩)。

ここで初めて、歌舞伎座の本当の姿を見た気がしました。売り場に人がぎっしり並んでいるのです。

天井に赤い提灯、壁際に「和菓子」の札。着物の人、浴衣の人、普段着の人が入り混じって、みんな買い物をしている。小さな丸テーブルがあって、そこで立ったまま食べている人もいる。

歌舞伎の幕間は、映画の休憩とは意味が違います。休憩そのものが番組の一部のようになっていて、ここで何かを食べ、しゃべり、また席に戻る。この往復が体験のリズムを作っている。

初めて行くなら、幕間に何を買うかを最初から予定に入れておくといいと思います。

席から見た舞台

歌舞伎座の客席と舞台。背景に月と枝が描かれた絵が見える

12時00分。客席の傾斜と、その先の舞台。背景には、大きな月と枝が描かれた絵が広がっていました。

席は思ったより詰まっています。前後の間隔は現代の劇場のような余裕はありません。ただ、そのぶん客席全体が一つの塊のようになって、笑いや拍手が伝わりやすい。

念のため書いておくと、上演中の撮影・録音は禁止です。

初めて行く人へのメモ

  • 観劇日:2025年7月26日(土)、七月大歌舞伎の昼の部。この日は千穐楽でした。
  • 場所:歌舞伎座(東京都中央区銀座4-12-15)。東京メトロ日比谷線・都営浅草線の東銀座駅から直結。地上に出ずに入れます。
  • 服装普段着で問題ありません。着物の人もいますが少数派で、どちらでも浮きません。
  • 千穐楽を狙うか:最終日は空気が違います。ただし人も多い。混雑を避けたいなら平日の中日のほうが落ち着いて観られます。
  • 一幕見席:歌舞伎座には一幕だけを観られる席があります。初めてなら全編よりまずここという選択肢もあるので、販売方法と価格は公式サイトで確認を。
  • 幕間:休憩は体験の一部です。和菓子や弁当の売り場が混むので、買うものを先に決めておくと時間を無駄にしません。
  • 撮影:客席やロビーは撮れますが、上演中は撮影・録音禁止です。
  • 予習:あらすじを事前に読んでおくと理解が段違いに楽になります。ただ、読まなくても絵看板と衣裳と動きで、かなりの部分は伝わります。
  • 所要:昼の部は幕間を含めて数時間かかります。前後の予定は余裕をもって。

歌舞伎は敷居が高いと思っていました。行ってみて分かったのは、敷居は建物の外にしかないということです。中に入ってしまえば、赤い提灯と三色の幕と、幕間に和菓子を買う列があるだけでした。

※演目・料金・販売方法は公演ごとに変わります。最新の情報は歌舞伎座の公式サイトでご確認ください。

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