甘川文化村から南浦洞へ戻ると、街はすっかり夕方の顔になっていた。目指すはBIFF広場。釜山国際映画祭(Busan International Film Festival)の発祥地であり、いまは屋台街として賑わう、南浦洞の心臓部である。

白いアーチの下、赤いパラソルの屋台がどこまでも続く。雑貨から食べ物、飲み物まで何でも揃い、正直に言って1日ではとても回りきれない。足元に目をやると、路面には映画人の手形プレートが埋め込まれている。その中に「ビートたけし 1997」の文字を見つけて、思わず立ち止まった。第2回映画祭の折のものらしい。釜山と映画の縁は、この広場の地面に刻まれている。

海の方へ少し歩けば、チャガルチ市場前の岸壁に「I♥JAGALCHI」のモニュメント。停泊する漁船と対岸のビル群を背景に、釜山らしい一枚が撮れる場所だ。

富平カントン市場へ
BIFF広場から歩いて数分、富平(プピョン)カントン市場に流れ込む。「カントン」は缶詰のこと。朝鮮戦争後、市場に米軍由来の缶詰が並んだことからその名がついたと聞くと、アーケードの下の賑わいも少し違って見える。

市場の中は、食べ物だけではない。鍋や食器が天井まで積み上がった道具屋を眺めているだけでも楽しい。そして食べ物横丁に入れば、粉食の屋台がずらりと並び、おでん(オムク)の串が湯気を上げている。


はしごの正解は、エビとホルモン
この夜のはしごで当たりを引いたのは、二つ。まず、路地の生簀で泳ぐ花エビ(コッセウ)の刺身。甘みが濃く、身はねっとりと舌に残る。もう一つは、富平洞の路地に丸テーブルとコンロが並ぶホルモン(コプチャン)横丁。炭火で焼ける脂の香りに引き寄せられて座り込んだが、これが正解だった。よく焼けたコプチャンの香ばしさは、ビールとの相性が反則級である。


路地にはコムジャンオ(ヌタウナギ)の専門店も目立つ。釜山の名物と知りつつ、今回は胃袋の容量切れで見送り。次回の宿題がまた増えた。

この日のメモ
- BIFF広場は地下鉄1号線・チャガルチ駅すぐ。釜山国際映画祭の発祥地で、路面には映画人の手形が並ぶ
- 名物の屋台は夕方から一段と活気づく。ホットク(シアッホットク)が定番
- 徒歩数分の富平カントン市場は、朝鮮戦争後に缶詰(カントン)を売ったのが名の由来。夜市も名物
- 花エビ(コッセウ)の刺身と、路地のホルモン(コプチャン)はどちらも当たり。1日では回りきれない規模なので、狙いを絞るのが吉
- エリア情報は釜山観光公社の公式サイトを参照(情報は訪問時点のもの)
屋台で腹を温めたら、この日の締めへ。釜山名物のテジクッパである。
※2026年8月訪問。価格・営業情報は訪問時点のものです。
関連記事


Comments