銀座五丁目の交差点のすぐそば、中央通りに面したビルの1階が果物屋になっている。ショーケースの中で、桃やメロンが一つずつ丁寧に並べられている、あの店だ。銀座千疋屋の銀座本店。その2階に上がると、フルーツパーラーがある。
2025年5月、そこで昼を過ごした記録です。
果物屋の2階、という贅沢
千疋屋が果物専門店として創業したのは1894年(明治27年)。フルーツパーラーのほうは1913年(大正2年)に始まっている。100年以上、同じ場所で果物を売り、その果物を食べさせてきたことになる。
この「1階で売っている果物を、2階で食べる」という構造が、いま考えると一番の贅沢だと思う。仕入れの目利きと、食べる場所が、階段一つでつながっている。
店内は思ったより静かだった。銀座の真ん中で、日中で、それでも席と席のあいだにゆとりがある。
背の高いグラスに、赤と白と、チョコレート

最初に来たのがこれだった。
細く背の高いグラスの底に、濃い赤のソースとフルーツが沈んでいて、その上に白いクリームの層。てっぺんに丸いチョコレートのアイスがひとつ。あいだから、オレンジ色に切り分けられた果肉が顔を出している。
パフェは「上から順に食べる」ものではなくて、スプーンをまっすぐ下まで刺して、全部の層を一度に持ち上げるのが正解だと思っている。冷たいアイス、ふわっとしたクリーム、そして底の果物とソースの酸味。この三つが一度に来ると、甘いだけで終わらない。
果物屋のパフェは、果物がちゃんと主役だった。クリームやアイスが果物を隠すのではなく、果物の味を引き立てる側に回っている。
そして、サンドイッチ

フルーツパーラーというと甘いものだけの店に思えるけれど、ここには食事のメニューもある。この日は大きな白い皿にサンドイッチが来た。
こんがり焼いたパンを三角に切り分けて、中には赤みの残った薄切りの牛肉、レタス、トマト。真ん中にパセリが立てられ、脇にピクルスが一本添えられている。盛りつけがどこか昔のホテルのレストランのようで、これはこれで良い。
甘いものを食べる前に、しょっぱいものを一度はさむ。これができると、パフェを最後までおいしく食べられる。フルーツパーラーで食事メニューを頼む意味は、たぶんここにある。
緑とオレンジのグラス

テーブルの上に、緑とオレンジの背の高いグラスが並んだ。緑のほうはメロン、オレンジのほうは柑橘。どちらも果汁そのものの色をしていて、作りものの色ではない。
奥にはもう一つ、赤いパフェ。白いクリームの上に、いちごが一粒のっている。
この、色がきれいに並んだ瞬間が、フルーツパーラーのいちばん楽しいところだと思う。全部が果物由来の色なので、どれだけ派手に並んでもうるさくならない。
この日のメモ
- 訪問:2025年5月、平日の日中。銀座千疋屋 銀座本店 フルーツパーラー。
- 場所:東京都中央区銀座5-5-1。1階がフルーツショップ、2階がフルーツパーラー。
- アクセス:東京メトロ銀座駅B5出口からすぐ。JR有楽町駅銀座口から徒歩5分ほど。
- 営業時間:平日11:00〜18:00(L.O.17:30)/土曜11:00〜19:00(L.O.18:30)、年中無休(訪問時点の情報。最新は公式サイトで確認を)。
- 歴史:果物専門店としての創業は1894年(明治27年)、フルーツパーラーの開業は1913年(大正2年)。
- 名物:季節のカットフルーツを盛った「銀座パフェ」が看板メニュー。季節限定のパフェも入れ替わる。
- 頼み方:甘いものだけで組まず、サンドイッチなどの食事メニューを一皿はさむと最後まで楽しめる。
- 1階もセットで:帰りに1階の果物売り場を見て帰るのがおすすめ。2階で食べたものが、どこから来たのかがわかる。
銀座には老舗のパーラーがいくつもあって、資生堂パーラーも、近くの千疋屋系の別店舗もある。そのなかで千疋屋の銀座本店を選ぶ理由があるとすれば、それは「果物屋が営むパーラー」であること。デザートの店ではなく、果物の店なのだという一点に尽きると思う。
※この記事の写真は、実際に撮影した写真をイラスト風に加工したものです。料理や店内の色味は実際と異なる場合があります。
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