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葉山マリーナのマーロウでランチ|皿の上に返して出てくる焼きプリンが忘れられない

旅行

2025年8月10日、日曜日。空は一日じゅう薄い雲に覆われていて、海の色もどこか鈍い。それでも葉山まで来たのは、この日のいちばんの目的が「食べること」だったからだ。目指したのは葉山マリーナの2階、マーロウ(MARLOWE)。

葉山マリーナのマリーナプラザ外観。曇り空の下、HAYAMA MARINAの文字が見える

12時22分、駐車場に車を停めて建物を見上げる。白い壁に大きく「HAYAMA MARINA」。その手前の煉瓦づくりの車寄せに「MARINA PLAZA」と出ている。看板の派手さはまるでない。ヨットハーバーの管理棟がそのまま商業施設になったような、素っ気ないくらいの佇まいだ。

窓の向こうが、全部海だった

マーロウ葉山マリーナ店の店内。丸テーブルと木の椅子、窓の外は海

12時27分、席へ通される。入ってすぐ、思わず足が止まった。壁の一面がまるごと窓で、その向こうが海なのだ。曇っているぶん水平線はぼやけているけれど、視界をさえぎるものが何もない。

内装は、正直に言えば新しくはない。飴色の木の床、少し重たい造りの椅子、丸いガラステーブル。天井には黄色く塗られた曲面。全体に1980年代から少しずつ手を入れながら使い続けてきた空気があって、それがかえって落ち着く。右手の棚には、あのビーカー型のプリンの容器がずらりと並んでいた。

葉山でつくられたクラフトビール

凍らせたジョッキの生ビールと、HAYAMA Craft Brewing Weizen Shakeのボトル

12時39分、飲みものが届く。ジョッキは白く曇るまで冷やしてあって、注がれた瞬間から表面に霜が残っている。そして隣に置かれた小瓶を見て、少し驚いた。ラベルに「HAYAMA Craft Brewing」「Weizen Shake」、そしてトレンチコートに帽子の男のイラストと MARLOWE の文字。この店の名前を冠した、葉山のクラフトビールだった。

ヴァイツェンなので、色は濁った淡い黄金色。苦みはほとんどなくて、口に含むとバナナのような甘い香りがふわっと立つ。よく冷えたジョッキとの相性がいい。昼から飲むビールとしては、これ以上ないくらい軽やかだった。

テーブルには水の入ったガラスのカラフェも一緒に運ばれてくる。窓際の席だと、その向こうにヨットのマストが何本も立っているのが見える。海の上には桟橋と、係留された白い船。

厚切りのじゃがいもと、牛肉のグリル

染付風の青い絵付けの皿に盛られた、厚切りじゃがいもの揚げ焼き

12時57分、最初の皿。藍色の絵付けがされた大きな平皿に、皮つきのじゃがいもを厚めに輪切りにして揚げ焼きにしたものが山になって出てきた。表面はしっかり色づいて、粉チーズらしきものと、黒っぽい香ばしいソースがところどころにのっている。

見た目はごく素朴だ。けれど齧ると外側がカリッと割れて、中はほくほく。塩気とソースのコクが強いので、これはもうビールを呼ぶための一皿としか言いようがない。器が立派なぶん、素朴さがかえって際立っていた。

黒い皿に盛られた牛肉のグリル。断面はロゼ色で、焼き野菜とサラダが添えられている

13時04分、メインの牛肉。黒い大皿に、厚めに切り分けた肉が並ぶ。表面はしっかり焼き色がついているのに、断面は美しいロゼ色のまま。添えられているのは黄と赤のパプリカ、なす、ズッキーニ、それに葉物のサラダで、野菜のほうも焼き目がきちんとついていた。

肉は柔らかいというより、噛みごたえを残した焼き方。噛むほどに肉の味が出てくるタイプで、余計なソースをかけずに食べるのがいちばんおいしかった。

皿の上に返して出てくるプリン

白い皿に返されたマーロウの焼きプリン。カラメルが皿に広がり、Marloweと書かれている

そして13時18分。この日いちばん覚えているのが、これだ。

マーロウのプリンといえば、耐熱ビーカーに入ったまま売られている、あのお土産の形が有名だと思う。もともとはレストランのデザートとして出していたプリンが評判になり、「持ち帰りたい」という声に応えて、調理に使っていたビーカーごと渡したのが始まりなのだそうだ。

けれどレストランでは、ビーカーから皿へ返して出てくる。白い皿の真ん中に、円筒形のプリンがすとんと立っている。まわりにはカラメルが湖のように広がって、皿の縁には同じカラメルで「Marlowe」と筆記体が描かれていた。添えられた陶製のスプーンにも、プリンのイラストと店名が入っている。

スプーンを入れると、思ったより手ごたえがある。ぷるぷる揺れるタイプではなく、しっかりと固い。オーブンで焼いて、卵の力だけで固めた昔ながらの焼きプリンだからだ。口の中では、やわらかいというより「密度がある」。卵の風味がまっすぐ来て、そのあとに牛乳の甘さ。カラメルはかなり苦めで、この甘さを最後に引き締めてくれる。

正直なところ、食事そのものは「特別な名店」という感じではない。海の見えるマリーナの、少し年季の入ったレストランだ。それでも、このプリンだけは別格だった。ここまで来てよかった、と最後のひと口で思った。

この日のメモ

  • 訪問日:2025年8月10日(日)12時22分〜13時20分ごろ。天気は曇り。
  • :マーロウ 葉山マリーナ店(神奈川県三浦郡葉山町堀内・葉山マリーナ内)。
  • 3つの顔:同じ店内にレストラン、カフェ、テイクアウトがある。食事をせずにビーカープリンだけ買って帰ることもできる。
  • 営業時間:10:00〜19:00、ランチのラストオーダーは14:00(訪問時点。最新の情報は公式サイトで確認を)。
  • :窓側とそれ以外で見え方がまったく違う。海を見たいなら、案内のときに窓際が空いているか聞いてみる価値はある。
  • プリン:店で食べると皿に返して供され、持ち帰りはビーカー入り。同じプリンでも印象がかなり変わるので、両方試すのがおすすめ。
  • ビール:「HAYAMA Craft Brewing / Weizen Shake」は葉山のクラフトビール。運転する人がいる場合は要注意。

ちなみにマーロウの本店は、ここから海岸沿いを南に下った横須賀市秋谷にある。1984年創業で、ビーカープリンはそこで生まれた。次はそちらにも行ってみたい。

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