結論から書く。ジンギスカンが苦手な人ほど、生ラムの店に行ったほうがいい。別の食べ物だからだ。
すすきのの雑居ビルにある「山小屋」は、地元の人にすすめられて行った。看板には「昭和31年から引き継がれる味」とある。1956年からということになる。ホテルから歩いて出て、夜に並んだ。

雑居ビルの狭い廊下で、小一時間
店は雑居ビルの中にある。入口の脇に赤提灯が下がっていて、「生ラム」とだけ書いてある。期待して扉を開けると、そこから先が長かった。
待ち列はビルの廊下だ。外ではなく、店の前でもなく、エレベーターホールから続く狭い通路に、人が縦一列に並ぶ。小一時間そこにいた。店構えの素っ気なさと、この行列の長さが釣り合っていない。それだけ人気だということだ。
並ぶ前に知っておくといいのは、ここが屋内の廊下だということ。十月末の札幌で外に立たされるよりはずっといいが、椅子はない。

生ラムは、ジンギスカンとは別の食べ物だった
案内されて店に入ると、まず煙だ。視界がうっすら白い。席に着くと穴の開いた鉄鍋が据えられていて、その上に野菜が積まれる。
運ばれてきた生ラムは、色からして違った。冷凍のラムではなく、生の肉の色をしている。焼いて口に入れると、いわゆるジンギスカンの匂いがほとんどない。そして柔らかい。噛み切るのに力がいらない。
ジンギスカンが苦手だという人の理由は、たいてい匂いと硬さだ。その両方がここにはない。人気の理由がよくわかった。

メニューはシンプル
メニューは複雑ではない。生ラムがあって、野菜があって、追加の品がいくつかある。悩む要素が少ないのは、こういう店ではむしろ良いことだと思う。
野菜は鍋に載せ放題で、そこにしいたけを追加した。しいたけは鍋の上で水分を吸って、肉の脂を含んで、別物になる。エゾシカも頼んだ。ラムとは繊維の向きが違う肉で、同じ鍋で焼くと対比がはっきりする。


煙のことは、先に言っておく
この店の唯一にして最大の注意点が煙だ。「もくもく」という表現が比喩ではない。店を出たときには、髪にも服にも匂いが入っている。
だから服装は選んだほうがいい。コートはクロークか袋に。明日も着る上着で行くと、翌日まで引きずる。ここを許容できるかどうかで、満足度が変わる。
それでも、また来たいと思える店だった。煙以外は。
穴の開いた鍋には、意味がある
札幌のジンギスカン鍋は中央が盛り上がっていて、底に穴が開いている。この形には理由がある。
肉を真ん中の高いところで焼くと、溶けた脂が斜面を伝って下へ流れる。その下に野菜を敷いておくと、脂と肉汁を全部受け止める。だから鍋の縁のもやしや玉ねぎが、終盤にいちばん旨くなる。肉を先に食べきってしまうと、この仕組みが働かない。
順番としては、まず野菜を縁に積む。中央に肉を置く。焼けた肉を取りながら、野菜を少しずつ中心寄りに動かしていく。これだけで最後まで味が落ちない。
すすきので並ぶ店に行くときの、時間の作り方
人気店に並ぶ前提なら、夕方の過ごし方を逆算したほうがいい。小一時間の待ちが入ると、18時に着いても食べ始めは19時になる。
私の場合は、ホテルがすすきのの南側だったので、待ち時間の長さをあまり気にせずに済んだ。食べ終わって歩いて帰れる距離に宿を取っておくと、この手の店は格段に行きやすくなる。逆に札幌駅前に泊まっていると、並ぶかどうかを地下鉄の時間で考えることになる。
煙の件もあるので、店のあとにどこかへ行く予定は入れないほうがいい。この日はここで終わり、という組み方が合っている。
行く前に知っておきたいこと
- 生ラムは別物。ジンギスカン特有の匂いと硬さがない。苦手意識のある人こそ試す価値がある
- 並ぶ。雑居ビルの廊下に縦一列。小一時間を見ておく
- 煙は本気。髪にも服にも入る。翌日着る服では行かない
- 追加はしいたけとエゾシカ。野菜は鍋に載せ放題なので、追加の一皿で幅が出る
よくある質問
予約はできますか
私は並びました。待ち時間は小一時間です。訪問前に最新の受付方法を店に確認することをおすすめします。
生ラムとジンギスカンは何が違いますか
一般に流通するジンギスカン用の肉は冷凍のマトンやラムが多く、独特の匂いがあります。生ラムは冷凍していない仔羊肉で、匂いが穏やかで肉質が柔らかいのが特徴です。
服装で気をつけることは
煙が強いので、翌日も着る予定の上着は避けたほうがいいです。髪にも匂いがつきます。
場所はどこですか
すすきのの雑居ビルの中にあります。入口に赤提灯と看板が出ています。
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出典
- 創業年:店舗看板の表記(昭和31年から引き継がれる味)
- その他は2026年11月の訪問時の実見にもとづく


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