麻布十番のB-TREへ。イタリアンである。東京カレンダーの編集長も気に入っている店らしい、と聞いていた。誰が好んでいるかで店を選ぶのは本意ではないが、そういう話を聞くと、やはり少し期待して扉を開けてしまう。
店主の鈴木光薫さんは、イタリア料理ひとすじ19年。イタリアで地元のレストランに勤めたあと、西麻布のイタリアン「MARI E MONTI」で7年ほど料理長を務めてから、この店を開いている。席は25席ほどで、テーブル席が中心だ。
行ったのは土曜の夜。2人でテーブル席、予約は普通に取れた。コースではなく、アラカルトで好きに選んだ。

パスタが、料理の顔をしている
イタリアンなだけあって、パスタにこだわりがある。板の上に、まんまるいもの、うどんのように太いもの、細く打たれたものが並べられて出てきた。冷製に合わせるものもあるという。ソースが先にあって、それに合う形を選んでいく。そういう順序で考えられていることが、並べられた麺を見ているだけで伝わってくる。
麺の形は、店から提案してもらった。ソースを決めると、それに合う形を勧めてくれる。自分で選ぶというより、相談しながら決まっていく感じだった。

この日、頼んだもの
馬肉とキャビア。キャビアのブスケッタ——フランスパンのようなものの上に、たっぷりとバターが敷かれている。バターとキャビアが合うのだと、この歳になって初めて知った。それからカルボナーラ、トリュフのリゾット、うさぎ肉の煮込み。
あとで調べたら、これは「馬肉のタルタルとキャビアを乗せたクロストーネ」という名前の皿だった。カルボナーラのほうは「蘭王たまごと自家製パンチェッタのカルボナーラ トンナレッリ」。トンナレッリは、断面が四角い手打ち麺のことだ。
どれも本当においしかった。料理だけで言えば、星がひとつ付いていても不思議ではないと思った。
その日の鯛を、好きなように
その日に入った鯛は、好みの調理で出してもらえるという。私はいつもの癖でカルパッチョをお願いした。香草と、小さなイクラ。魚と魚卵という、考えてみれば当たり前の取り合わせが、思っていたよりずっとよかった。選べる、というのは、贅沢の一種なのだと思う。
調理法は、いくつか候補を挙げてくれる形だった。こちらが詳しくなくても、提示された中から選べばいい。

気負ったところのない店だ。それでいて、皿の一つひとつには手が掛かっている。本当に良い食事になった。ぜひまた行きたい店である。
会計と、予約の目安
ワインはグラスで通して、会計は一人あたり1万5千円ほどだった。アラカルトで好きに頼み、グラスワインを何杯か、という食べ方での金額だ。
営業は夜17時30分から24時まで。土日は12時から14時の昼営業もある。定休日は月曜。場所は港区麻布十番1丁目。
開店当時の報道では、馬肉のクロストーネが3,200円、カルボナーラが2,200円とされていた。価格は変わることがあるので、目安として。
この日のメモ
- 店:B-TRE(麻布十番/イタリアン)
- 頼んだもの:馬肉とキャビア/キャビアのブスケッタ/カルボナーラ/トリュフのリゾット/うさぎ肉の煮込み
- その日の鯛は好みの調理で。カルパッチョに、香草と小さなイクラ
- 気づき:バターとキャビアは、合う
- パスタはソースに合わせて打ち分け。まんまる、うどんのような太打ち、冷製用
- 料理だけ言えば、星ひとつでいい


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