釜山で食べたナッコプセが、ずっと頭に残っていた。タコとホルモンとエビを、辛いスープで一緒に煮込むあの鍋だ。帰国してからも折にふれて思い出していたところ、同じ「ケミチプ」の看板が新大久保に出ていると知った。予約を入れて、車で小一時間かけて出かけた。

SINCE 1972 の丸看板が、新大久保に立っている
赤い外壁に白いハングル、その下に「GAEMIZIB 新大久保本店」。軒先の丸看板には SINCE 1972、KOREA No.1 の文字が入っている。釜山・海雲台で入った店と同じ看板が、この街角に立っていた。二〇二六年五月に開いたばかりだという。

中に入ると、店内はまだ新しく、清潔感がある。テーブルごとに排気フードが下りていて、壁には見覚えのあるロゴ。落ち着いて座っていられる店だった。
ナクチとコプチャンとセウで、ナッコプセ
ナッコプセという名前は、ナクチ(タコ)、コプチャン(ホルモン)、セウ(エビ)の頭文字をつないだものだ。釜山で広く食べられている鍋で、ケミチプは一九七二年創業を掲げる老舗の系譜にあたる。

注文は二人前からになる。ただし副菜もご飯も最初からセットになっていて、あとから何かを足す必要がない。価格帯は、釜山で食べたときとおおむね同じくらいだった。

運ばれてきた副菜は、キムチ、豆もやし、ナムル、海苔。釜山のテーブルとほとんど同じ顔ぶれだ。鍋にはタコとホルモンとエビが生のまま並んでいて、これから火が入る。
辛さは抑えてある。それでも辛ラーメンほどはある
辛さは日本人向けにかなり抑えている、との説明だった。ただ、メニューには辛ラーメンほどの辛さがあると書かれている。食べてみると、たしかにそのとおりだった。釜山で辛さを抑えてもらったときと、ほぼ同じ強さだ。

辛味と、エビとタコから出た出汁と、ホルモンの旨み。この三つが程よく調和している感覚は、釜山で食べたものと変わらなかった。写真を見比べても、ほとんど同じ鍋が出てきている。
車で一時間かけても、また行く店
少し出かけてでも食べに行く価値がある。そういう評価のされ方をする店が、世の中にはある。星のつく高級店とは別の軸で、払った額以上のものを返してくれるほうの店だ。この日の鍋は、私にとってまさにそれだった。
このところ、韓国料理への興味が家族の中で尽きない。義理の両親までがすっかりはまっていて、年末年始には一緒に韓国鍋を囲む約束をしている。いまから道具と材料を選ぶのが楽しくなっている。釜山まで飛ばなくても、あの味の記憶を確かめられる場所が近くにできたのは、思っていたより大きいことだった。
この日のメモ
- 店は「ケミチプ(개미집/GAEMIZIB)新大久保本店」。二〇二六年五月オープン
- ナッコプセ=ナクチ(タコ)・コプチャン(ホルモン)・セウ(エビ)を辛いスープで煮込む釜山の鍋
- 注文は二人前から。副菜・ご飯はセットに含まれる
- 辛さは日本人向けに調整されているが、それでも辛ラーメン程度の辛さはある
- 人気店なので、予約をしてから行くと安心
- メニュー・価格・営業時間は変わることがあるため、最新はケミチプ公式サイトで確認を
本場のナッコプセについては【釜山・海雲台】ナッコプセの老舗「ケミチプ」に書きました。同じ旅で生きたタコを食べた日の記録は新東亜水産物市場にあります。
※2026年8月訪問。価格・営業情報は訪問時点のものです。
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