日常に馴染むように、贅沢が静かに存在する時間。それは、海と食と、そして対話のあるテーブル。
■ 海を望む窓際席での特別な時間
横浜みなとみらい、ハンマーヘッド。近代的な街並みと港の情緒が調和するこの場所に、スペイン料理店「Del Mar COMEDOR Y TERRAZA」は佇んでいます。
訪れたのは、風が穏やかなある日の午後。案内されたのは窓際の特等席。目の前には、青く静かな港が広がり、心地よい潮風がゆるやかに流れていました。
スペインタイルとウッドのインテリアが醸す柔らかな空間に、控えめな会話とカトラリーの音が心地よく響く。高級感がありながらも、過度な演出のない空気感は、大人のための“ちょうどよさ”を感じさせます。
■ 魚介の旨味を堪能する料理の数々
食事は、シェフおすすめの前菜「ピンチョス盛り合わせ」から始まりました。バゲットの上に乗った魚介や野菜、ハーブなどが色とりどりに並び、目でも楽しめるひと皿。
続いて「タコのガリシア風」。オリーブオイルとパプリカが香る柔らかなタコが、ジャガイモとともに供されます。言葉を超えた満足感を与えてくれました。
メインは、魚介のパエリア。ムール貝、エビ、イカなどが贅沢に盛られ、サフランが優しく香ります。海の恵みが口いっぱいに広がり、白ワインとの相性も抜群でした。
デザートはクレマカタラナ。キャラメリゼを割ると、中から香り高くなめらかなクリームが現れ、食後の余韻を静かに締めくくってくれます。
■ 海辺の空気と共鳴するひととき
ガラス越しに眺める港は、時間とともに陽の色が移ろい、帆船や水上バスがゆっくりと行き交う。その景色を眺めながら、妻と他愛ない話を交わす。
料理を待つ間、ただ海を眺めていられるという贅沢。日常では見過ごしがちな“何もしない時間”の豊かさに、静かに浸ることができました。
■ Private Wisdom的まとめ
Del Mar COMEDOR Y TERRAZAで過ごした午後は、食と空間と人が織りなす“感性のひととき”でした。
派手な演出ではなく、丁寧に整えられた食事と、余白のある会話。そして、美しい風景が包み込む、上質な時間。それは、ただの外食ではない、“時間の贅沢”とも言える体験でした。
とりわけ印象に残ったのは、ガリシア風のタコ。その一皿に込められた素材の力と技術、そして物語は、私たちに静かな驚きを与えてくれました。
贅沢とは、感性に静かに語りかける体験のこと。
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